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日本人の一生はお箸に始まり、お箸に終わる(箸初めに始まり、死水:骨上げで終わる)
お箸が持てなくなったらおしまいだ。などと言われるように、昔から日本人にとってお箸は、生活に密着し無くては成らないものであり【生きる=箸】としてとらえ、お箸を丁寧に扱い食事の時以外は箸箱に大切にしまっておきました。
時は流れ、お箸は手間暇かけた漆塗りの良質なお箸から大量生産が可能な安価なものへと替わり「お箸は安いもの」「お箸は使い捨て」というイメージが一般的に定着しいつの間にか、お箸に限らず「感謝する心」や「物を大切にする心」が薄れてきてしまったのかもしれません。
当店は毎日使い、食器の中で唯一「直接口に触れる」お箸だからこそ天然木を使い安全に配慮した良質なお箸を中心に取り扱っています。
そして、お箸を通して「感謝する心」「物を大切にする心」を一人でも多くの方へお伝えしたいと考えています。

お箸あれこれ

お箸は使った人の霊が宿る!?

昔の話、山に入った人は、さて昼飯という時、木の枝を箸代わりに使っていました。花山法皇の伝承では、熊野御幸の際、熊野古道・中辺路(なかへち)の峠で昼食をとろうとした時にカヤを折って箸にしたことから、その峠を「箸折峠」と名付けられたそうです。
箸折りのいわれには諸説あり、箸をそのまま捨てると山に棲む獣に遊ばれ、その災いが自分にふりかかるという言い伝えがありました。一度使った箸はその人の霊が宿るとされ、箸折りの行為によって霊が自分に戻ると信じられており、必ず折ってから捨てていました。現代、私達が弁当を食べた後に無意識に箸を折るのは、この箸折りの名残りなのかもしれませんね。

箸食作法の父は聖徳太子!?

現時点の調査では、箸がいつ誕生したのかはっきりしませんが、箸発祥の地は中国というのが定説です。と言うのも箸に関する文献では、中国・戦国時代(紀元前400~200年頃)の書物が最古のもので、そこには〔箸〕の文字が多く見つけられるからです。さて、日本で箸食を初めて制度として採用したのが聖徳太子でした。607年、小野妹子らを遣隋使として派遣した折、小野妹子らは箸を使った食事作法で歓待を受けました。この進歩した作法の報告を受けた聖徳太子は、さっそく宮中の宴に箸食を採用したというわけです。以後、大きな寺院は次々と箸食を取り入れたそうです。

日本人の一生は、箸に始まり、箸に終わる。(箸初めに始まり、死に水:骨上げで終わる)

“箸が持てなくなったら、おしまいだ”などといわれるように、昔から日本人にとって箸は生活に密着し、無くてはならないものでした。
昔は【生きる=箸】としてとらえ、お箸をていねいに扱い、食事の時以外は箸箱に大切にしまっておきました。
ただ昔の箸は現在多く出回っている量産品の箸と違い、漆仕上げの手間暇かけた良質の箸だったということも箸箱に保管した理由の一つにあげられます。
高度経済成長の昭和30年代頃から、大量生産が可能な化学塗料を使った安価な箸が出回り、私たちの家庭に普及してきました。同時にお箸は安いもの、使い捨てというイメージも広く一般に定着し、いつの間にか箸だけに限らず、物を大切にする心が薄れてきてしまったのかもしれません。

折箸が今の箸(二本)の原型?

新穀の飯を神に供える儀式の新嘗祭のうち、天皇即位後に最初に行われる新嘗祭が大嘗祭といわれ、この神饌には竹をピンセット状に折り曲げた折箸が使われています。この折箸が箸の起源で二本の箸に変わっていったという説があります。
食べ物を口に運ぶ今の箸(二本)の原型とすべきなのか? という考えもあるようですが、元々はこの折箸は神に食物を取り分ける祭器や神が使う神器だったのですね。
箸の語源をこのピンセット状のものが鳥の〔クチバシ〕に似ているからとか、竹を曲げてその〔端と端〕を使うから、また〔食べ物を口に運ぶ橋〕になる〔神と人を結ぶ橋〕〔神が宿る柱〕など色々ありますが、どれもなるほどと思ってしまいますね。箸という字は竹かんむりが使われているように素材としては古来より竹が多く使われていたようです。

太箸

七代将軍足利義勝が家臣たちとの正月の祝宴の時に使った箸が折れ、数日後、将軍が馬に乗って出かけた際、馬が根っこに足を取られて、将軍は馬から落ち亡くなってしまいました。それ以来、箸が折れると縁起が悪いと言われるようになり、祝膳では折れない太箸を使うようになりました。

箸の数え方

今では一膳、二膳と数えるのが普通ですが、それは鎌倉時代に一人用の膳が発達し、一つの膳に一つの箸が添えられたことからと言われています。それまでは、一具・一隻・一双・一株・一囲などと数えていたようです。

お箸は日本人が一番使う道具。食器で一番使うのがお箸

日本人の手先が器用なのは、お箸を使うからだと言われています。お箸はつまむ・はさむ・支える・運ぶ・切る・裂く・ほぐす・はがす・すくう・くるむ・のせる・ 押さえる・分けるなど、二本の棒を片手で操り、さまざまな機能をもたせることのできる優れた道具(食器)です。日本人は、微妙な指の使い方・力加減を幼い頃からお箸によって習得していたのですね。箸使いが日本人にとって、すべての道具を器用に使いこなす基本になっているのかもしれませんね。食器というと、器がメインで漆器や陶器にこだわる方も多く、百貨店やスーパーなどのお店を見ても、お箸は売り場の片隅に寂しそうに置かれています。箸屋からすると......んー、箸が一番使う食器で、機能的にも優れているのに......。

サイト内の用語解説

拭き漆【ふきうるし】

拭き漆は、木の素材に生漆(きうるし)を摺り込まして仕上げられたものです。

螺鈿【らでん】

漆芸の装飾技法で、夜光貝、アワビ貝、蝶貝などを模様の形に切り、木地や漆地に埋め込むか貼り付けるものです。奈良時代から継承された伝統技法です。

蒔絵【まきえ】

漆で表面に模様などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの粉を蒔いて、表面に定着させる技法です。

利休箸【りきゅうばし】

利休箸は、杉材で両端を同じ細さに削り、また握りの部分を扁平にし、握りやすさに配慮した形となっている。両先端が使えるので箸を持ち替えることなく取箸としても使えます。

黒檀【こくたん】

カキノキ科の広葉樹で東南アジアに分布、重くて硬いので加工が困難ですが耐久性が優れています。稀少材の銘木といわれ高級仏壇や家具に多く使われる。

紫檀【したん】

マメ科の広葉樹、ローズウッドの呼び名でおなじみです。熱帯から亜熱帯に分布する稀少材です。薔薇の香りがすることからこの名前がついたようです。硬いので加工が難しいものです。

鉄刀木【たがやさん】

マメ科の広葉樹、アジアに分布。磨くと光沢が出るが硬いので加工が困難ですが耐久性があります。

槐【えんじゅ】

マメ科の落葉広葉樹、日本に分布、材質は重く硬い部類に入るが加工はしづらく磨くと光沢が出るのが特徴、強く粘りがあるので広く活用されている。

蛇紋木【じゃもんぼく】スネークウッド

インド・スリランカ原産のスネークウッドは、大変硬く加工が困難、また蛇のような美しい模様が特徴です。美しい模様があらわれたスネークウッドは、それだけで資産になるほど価値のあるもので木材の中で最高級といわれています。

お箸のことわざ

箸と主は太い(固い)のが良い

箸は太くて丈夫(実直)なのが良く、主人もしっかりしていないと頼りにならない。

箸にあたり、棒にあたる

腹を立てて、方々の見さかいなく関係のないものまであたりちらす。八つ当たりをする。

箸に目鼻をつけても男は男

箸に目鼻=やせた人。やせた男でも男は男として、みな相応に対応しなければならない。

箸にすたらぬ病人

病気であるのに、食欲だけは旺盛な病人。

箸にも棒にもかからぬ

どうにもこうにも手が付けられず、取り扱いに困る事。何もとりえのないたとえ。

箸の上げ下ろしにも小言を言う

ちょっとした細かいしぐさや小さな事でも、やかましく小言を言う。

箸が転んでもおかしい年頃

若い娘がちょっとした事にも良く笑う事。十五、六歳の娘をいう。

箸も持たぬ乞食(こじき)

全然何もない事。

箸より重い物を持たない(重いものは箸と茶碗:堅いものは箸ばかり)

金持ちの家に生まれ大事に育てられて、何でも他人にやってもらういい身分。働いた経験がない事。

うまい飯なら箸を置かぬ

好きなこと(物)なら、誰にもとめる事はできないたとえ。

箸の弱いのと男の弱いのは食えない

箸と男が弱いと食べていけない(生きていけない)。

白臼を箸に刺す

どうしてもできない事、無理な事を言うたとえ。だだをこねる。

大飯食らい箸を選ばず

ある目的を果たす為には、方法や手段などを気に掛けない事。

膳部揃うて箸を取れ

食事は、料理がお膳に揃ってから箸を取りなさいの意で、せっかちに食べ始める事へのいましめ。物事は準備が整ってから始めよの意。

箸折り屈(かが)みの兄弟

(箸は昔、一本の竹を中央から曲げて使った事から)深い縁で結ばれている二人の兄弟のたとえ。

箸で銜(くく)めるよう(噛んで含める)

銜(くく)める=口の中に入れてやるの意。幼児に箸で食べ物を口に入れてやるように、相手が良く理解 できるように、ていねいに教える。

箸を付ける

食べようとして、食べ物に箸をあてる。何かをやり始めた事。